2023/10/06 09:29
私たちは北海道の下川町で、バイオ炭を施用して作物を栽培しています。
バイオ炭の農地施用は大気中のCO2を除去する有効な手段として国際的に認められており、土壌改良にも役立ちます。
地域資源を最大限に生かしながら、持続可能な食料生産を行う。それが私たちの夢です。
バイオ炭とは
バイオ炭の定義は「燃焼させない水準に管理された酸素濃度のもと、バイオマス※を350℃以上で加熱して得られる固形物」。
よく炭と聞いて思い浮かべる木炭も、バイオ炭に該当します。木に限らず、竹、もみ殻などの農業残渣、家畜糞尿など、ありとあらゆる生物由来の資源がバイオ炭の原料になります。
※バイオマス…再生可能な生物由来の有機物(化石燃料は除く)

バイオ炭が地球を冷やす仕組み
1. 植物は光合成でCO2を吸収する
木を例に説明しましょう。木は光合成で大気中の二酸化炭素(CO2)を吸収し、有機物に変換して体に蓄積します。これを炭素固定といいます。

2. 自然状態では、吸収したCO2はいずれ放出されてしまう
やがて木が死ぬと、微生物によって有機物が分解され、固定されていた炭素がCO2となって放出されます。
木が生まれてから死んで分解されるまでの全プロセスで、CO2の吸収量と放出量は同じになります。

3. バイオ炭にすれば、CO2が出ないように地中に閉じ込められる
木をバイオ炭にすると、炭素原子が互いに強く結合しあって「難分解性炭素」となり、微生物が分解しにくい安定した構造になります。
このバイオ炭を農地に埋めることで、炭素を半永久的に土壌中に貯留し、大気中からCO2を除去することができます(炭素貯留)。

バイオ炭の農地施用によって大気中のCO2を除去し、地球温暖化の防止につなげることができます。
私たちの取り組み
1. 道産未利用材を原料にしたバイオ炭を施用しています
森林を伐採すると、細すぎたり曲がりや腐りがあって製材としては利用できない木材が出てきます。道内の森林から出たこのような未利用材を原料として、下川町で製造されたバイオ炭を使用しています。

2. バイオ炭を施用した畑で小麦を栽培しています
日本での小麦の自給率は15%程度と低く、ほとんどが輸入小麦です。私たちは下川町の協力農家の畑にバイオ炭を施用し、小麦を栽培しています。環境への配慮とともに、「自分たちで食べるものを自分たちで作る」という本来の食料供給のあり方を実現したいと考えています。

3. J-クレジットを創出しています
J-クレジットは、CO2等の温室効果ガスの排出削減量や吸収・除去量をクレジットとして国が認証する制度です。
バイオ炭の農地施用は2020年にJ-クレジットの方法論に追加され、2022年に初めて247t-CO2のクレジットが承認されました。私たちもそのクレジットの一部にあたる170t-CO2を創出しており、これは全体の69%に相当する全国第1位の創出量です。

